手から感じるもの…
「技」という漢字は、
「5本指のある手」の象形と「竹や木の枝を手にする」象形(「木の枝をささえ持つ」の意味)から、枝を持ちたくみにふるまう事を意味し、そこから、「わざ」を意味する「技」という漢字が成り立ったそうです。
屋根板(杮板)は、「板へぎ」をする者の他に、出来上がった板を結束する作業を担当する者の共同作業によって作られています。
写真の1個が0.25坪分。
つまり1坪にこの束を4つ使うことになります。
この決められた数量に結束するために
枠の中に板を積んでいくのですが、
出来上がった板の巾はバラバラです。
一本の原木から出来るだけ多くの板を作ろうと思えば、巾を決めず、取れる巾で取っていくことが原則となります。
この枠に積む作業。
実はこれも一朝一夕にはできません…。
パズルみたいなものなのですが、ピッタリと積んでいくためには相当の熟練が必要です。
最初は1つ出来上がるまでに1時間ちかくかかることも…
これが慣れてくると、15分程度で仕上がるようになります。
しかし。
ただ早く積めればよいというものではありません。
積みながら板の材質や厚み、乾燥具合など、仕上がりについて確認をしていきます。
ダメなものは跳ねだして行きますので、言ってみれば最終検査。
ここを通過しなければ出荷することはできません…
作業工程のほとんどは手作業です。
毎日毎日、板に触れながら、材の良し悪しや、厚みのムラなどを「手」で覚えていきます。
一枚一枚測っていたら、多くの板をさばいていくことはできません。
頼りになるのは、手で感じるもの。
良い物を作っていくためには、
板をへぐ私たちの感覚と、彼女たちの感覚を「一(いつ)」にすること。
これもまさに「技」と呼べるものではないでしょうか。
技=「手が支える」もの。私はそう理解しています。